2017年2月14日火曜日

第63回桐生堀マラソンのこと 2017.2.12

 大会当日。早朝、車で群馬県桐生市へ向かう。途中、県境付近の高速で大雪に見舞われたがマラソンスタートの1時間半前に会場に到着することができた。
 天候は快晴。路面のアスファルトが凍結するほど気温は低く、時折冷たい風も吹くけれど、日向に出ると陽射しは思いのほか力強い。
 早速、楽しみの一つである参加賞のTシャツを受け取った。今年はえんじ色、相変わらずトーンを抑えた色調で、胸にはKHM64のプリントが施されている。一瞥してなんだか学生の頃に着た体操着の色に似ているなと思った。気に入らないわけでないが期待をハズされた感は否めなかった。



 スタート40分前。参加者で賑わう会場周辺の公道をジョグで2kmほど走る。軽く身体を動かしたつもりだが、ことのほか汗ばんだので、薄手のウインドブレーカーを脱ぎ、Tシャツで走ることにする。シャツの下にはミレーのドライナミックメッシュを着用し、汗で身体を冷やすことのないようにしていた。おかげで防寒対策は万全。とても重宝しており、汗をたくさんかく方にはオススメの逸品である

 スタート10分前には整列して時を待った。
 走破目標は1時間35分切りの自己ベスト。昨年末から積み重ねてきた走力を試す、そんなつもりで臨んでいた。調子は悪くない。特に作戦も立てず、気分良くキロ4分半ペースで走れば良いと思っていた。

 スタート30秒前のアナウンスで少しあたりが静まり、僕もいつものように両手を口元に当て一点を見つめてルーティンに入り、気持ちを落ち着かせる。

 号砲が鳴りスタートした。
 色とりどりのランナーが、スタートからの下り坂をひと塊になって移動を始める。僕はその中をかき分けるように、空いたスペースを見つけては飛び込んでいく。入りの1kmは4:37。流れに乗ったように感じたのでペースをキープしての2km通過は4:39。次ぐ3kmは4:38。
 この時点で30秒ほど目標に及んでいないことが脳裏をかすめるが、まぁ焦らずジワリと行けばいいさと自分に言い聞かせる。
 コース沿道の商店街からは引きも切らずに声援が飛ぶ。日曜日、街の目抜き通りを我々ランナーに開放するというのは、なかなかできることではない。歴史を重ねた大会だけに市民の理解もあるのだろう。 (5km通過 23:11)

 6km付近からコースは確かな上り基調になる。起伏を交えながら山間の道を上っていく。なんとなく見え覚えのある風景が連なり、昨年の記憶を手繰り重ね合せる。
 時折現れる集落の一角を成す古い建築物、左手の桐生川。記憶しているコースの沿道には大きな変化は認められない。ただ昨年と明らかに異なるのは、アスファルトを踏むたびに散布された凍結防止剤がプチプチ、ザッザッと足を踏むたびに音を立てることだった。
 (10km通過 23分20秒 )

 巨大なパイロンでコースを折り返してからは、下り坂を拝借してペースを上げに掛かかる。ただ似たペースのランナー達の中で、僕は下りを走るのは、まったく上手くなかったようで、抜かれることはあったが抜くことは皆無だった。
 そんな状況だったが不思議なほどに冷静で、走ることに集中できていた。吹きつける冷たい風が気持ちを騒つかせることはあったが、ただひとり静寂の中を走るように、路面を踏む一歩一歩に意識を傾けながら、淡々と脚を動かしていた。
 (15km通過 22:13)

下りの恩恵は緩みつつあったが、ゴールまでの残りの距離が僕を鼓舞した。残り5kmの看板を見てからは、1km毎をしっかり走って、ラストへ繋ごうと意欲的になれた。余力十分だった。
 そして残り3kmを過ぎ、5キロ走のランナーとコースを一緒に走る頃、それまでの静寂が一変し喧騒になる。イキの良いランナーに囲まれながら、さらにしっかり走りぬこうと気持ちを強く持った。わずかに感覚が鈍くなった脚を動かしながら、再び桐生の商店街をゴールに向けて駆けた。辛いとか、苦しいとか感情の起伏も抑揚もなく、瞬く間に過ぎていった時間感覚だけが強く印象に残った。
(20km通過 22:34)

 誘導に従い商店街を右へ曲がると細い路地に入る。もうゴールはすぐそこだ。左そして右へとクランクすると、辺りの沿道は人々で埋め尽くされ、その先にフィニッシュラインが見えた。わずかな直線をスパートしてゴールへ飛び込む。歩様を落とし数歩進み、すぐに回れ右をして一礼をした。
 今年の初戦が終わった。グロスで1:36:05。ネットでかろうじて35分台かな。目標には届かなかったけれど、清々しい気持ちになれた桐生堀マラソンだった。

 最後に。一緒に参戦したヒグマサさん、フェマンさん、H間さんにウチの奥さん、長い移動時間でしたが笑いの絶えない楽しい時間でした。また来年を楽しみにしましょう。
(了)



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