2016年8月28日日曜日

トレーニング'16.8.22~’16.8.28

テーマ :佐渡の準備

月 休養
 朝ラン10k 60分 ジョグ HR60%
  スイム 1,600m 60分(Up-K500、50m 50-10 ×8本、50,100H)
水 朝ラン8k 42分 軽快走
     市陸連13周5k ジョグ+ゼミ 2h (柔軟筋膜リリース、30mダッシュ、階段走) 
木 休養 朝ラン3k ジョグ 20分 (階段走、ドリル)
金 休養 バイク26k 60分
土 バイク85k 自宅〜290号〜胎内パークホテル往復 2時間50分 →ラン8k 5分target 40分
    スイム 2,000m 70分(1,000E、K500、ブレス&プルドリル、50H×6)
日 ラン21k 123分 ジョグ
     海練 ちょこっと

週の振り返り
 24(水)アランゼミ。ちょっと張り切り過ぎたせいか翌25(木)は脚ダル&軽い筋肉痛。久々の参加でイロイロと刺激を受ける。教えを頂戴するという謙虚な姿勢は、人として、いつどんなときでも欠かせない行為だと思った。

 26(金)は佐々木さんにメンテに出したバイクで帰宅。若干の意匠変更はもちろん、コンポーネントのワイヤー交換はグッド!ギアチェン時のストレスがあっさり解消される。
 帰宅してダイニングの椅子に腰をかけた途端、気が付けば右手には缶、左の人差し指はプルトップへ…。

 27(土)迷走台風10号のおかげで、すこぶる涼しい朝を迎え兼ねてから予定していた胎内バイク行&ランのトレーニングを開始。合わせて佐渡トラでの補給をシュミレーションする。
 胎内へのバイクは往路45Kで1時間半オーバー、復路は40k1時間20分を切ってギリave30km/h。坂は相変わらずヘタレだったけれど、平地で挽回する予想通りの内容。復路の終盤は体力的に余裕があったことが好感触。来週の本番はバイクもネガティブ走で。
 このトレで気付きが多かったのは補給。持参したマルトデキストリンは3パックを水で溶かしたが、本番は4パックに増やし、次いでアミノ酸を一本加えたい。「ぱりんこ」は2枚入り一袋で十分。「濡れおかき」は味はしっかりしていて大変よろしい。1個が大きいの半分にしてパック袋に入れて持って行きたい。いっそ固形物は全部まとめてパック袋に入れようか。
 続くラン。走り出しこそ5:14だったけれど以降は5:04〜5:05〜5:00〜4:58〜4:59〜4:59〜5:01でヤメ。走り出しの1kmで脚の感覚やフォームを取り戻し、以降ちゃんと息を整えれば走破目標はなんとかなりそうだ。バイクの後だったが特に大きな疲労感はなく道中の補給が効いていると思う。
 帰宅後、顔を洗いに洗面台の鏡にを覗き込むと、そこに映った顔はびっくりするほど土気色。ランを継続せず切り上げて正解だったかも。

 28(日)家内に付き合ってジョグ。30kを視野に入れつつ5分40秒台のペース走。15k過ぎに左脚の股関節に違和感が。やってやれないこともなかったけれど21kで終了。
 午後、遅い時間から日和浜へ家族と共に繰り出す。波もあってうねりもきつい。朝の海とは全く表情が違う。ウエットの上だけ着て泳いでみたがやっぱり水着だけの方が気持ちいい。これが最後の海遊びになりそうだ。

8/28までのトレーニング… Swim 17.1  Bike 391 Run 264 12.5h/週

2016年8月26日金曜日

2016佐渡トラBに向けて

 昨年に続いて2度目の出場ということもあり、目標に向かって頑張りながら、いかにレースを楽しもうかなどとも考えている。
 例えば持参する補給のこと。
 昨年はエイドに頼らない補給をテーマに準備した。
 スイムアップ後にアミノ酸ジェルを摂り、ペダルを漕いで少し落ち着いてから、お気に入りのきんぴら饅頭とカロリーメイトをCCDのボトルで流し込んだ。朝食から3時間ほど経っていたので入らない量ではなかった。
 以降はデキストリンのジェル4本をグレープフルーツジュースで溶かしたボトル、それからエイドのスポドリで水分補給を行った。途中サイコンの電池が切れてしまったので里程標を見ながら数回に分けて飲み干したことを記憶している。
 さて今年はどうしようかな。
 昨年Aタイプに出場したチームメイトのブリ男さんが携帯した「ぱりんこ」が頭から離れないでいる。きっとスポドリには相性はいいだろう。今年は饅頭の代わりに味の濃い「濡れおかき」あたりを持参して、道中は「ぱりんこ」でもかじりながら行こうかしら。バイクを漕ぎつつ時折モグモグと口を動かすのはアクセントになって案外と楽しいものだ。
 こんなことを思い描きながらワクワクしている。佐渡トラまであと8日だ。

 走破目標は兼ねてから掲げている通り6時間切りであるが、僕にとって相当手ごわい。なのでこれを第一目標として第二目標も設定しておきたい。たとえ第一目標がバイク後半あたりで潰えてしまっても最後までもがき続けれるよう、第二目標はランパートを5分ペースで走り抜くこと。これで最後まで緩まずレースに臨めるだろう。それこそ、この競技の掛け替えのないオプションだと僕は思う。無理は承知の上、今年は最後までハァハァゼィゼィともがくぞ!

◇目標タイム(トランジション込み)
スイム2,000m 40分 (1分/50m毎ペース)…450kcal
バイク105km 3時間35分 (ave.30km/h)…2,760kcal
ランハーフ1時間45分(5分/km)…1,500kcal
【走破希望時間】6時間、消費カロリー4,710kcal (3000kcalは補給で持参)

2016年8月22日月曜日

トレーニング'16.8.15~’16.8.21

テーマ : 心拍トレ

月 休養、筋トレ
 ラン10k 53分 HR70%~80%
  スイム 1,600m 60分(50×10、K500&ドリル、50E&H×10)
水 ラン15k 78分 HR70%〜90%
木 ラン12k 70分 ジョグ HR60%〜70%、筋トレ
ラン5k 34分 ジョグ HR50%
  スイム 1,500m 60分(K500&片手プル、25E&H×10、100H×3)
土 ラン13k 75分 やまびこ通り HR60%〜90%
日 ラン20k 117分 ジョグ HR60%〜70%
     海練1,000mぐらい 30分
     バイク30k 60分 福島潟〜豊浦〜月岡

週の振り返り

16(火)帰宅して、どうしようもなくお腹が空いたので、夕飯を食べてからプールへ行くことにした。これがいけなかった。言わずものかなプールではハードな追い込みは出来ず終始ゆるスイム。ウォーキングコースで伏し浮きやら、ロー&ボーなど胃にやさしいドリルをやって水に慣れ親しんだ。食べ過ぎ注意っと。

17(水)この日も帰宅途中からどうしようもなくお腹が空いた。昨日のこともあるので少しだけ摘んでランニングへ。だがこれもいけなかった。10km5分走の直後にリバース。本来はもっと走りたかった。お腹が空いても食べるのをやめなきゃならないのか。

19(金)朝のランニングから脚が重くて身体がだるい。それは18(木)の夜ランから状態の下降を感じていたけれど、睡眠をしっかり取れば回復するだろうと安易に考えていたがそうではなかった。ただ気持ちは前向きなのでアクテイブレスト風に汗を流す。この日は一日中気怠さが抜けきれず、さらにもう一押しで夜プールへ。概ねいつものメニューをこなし体調を整える。身体と気持ちが一致しないときは要注意なのだが…。

20(土)早朝からK師匠とやまびこ練。1.5周をさらりとやって出湯温泉に浸る。この日はこれでトレ終了。暑い1日になりそうなので、のんびり1日を過ごすことに。

21(日)いつもより少し遅い時間からラン開始。強烈な陽射しに手照らされて20kで終了。物足りないので海練と遊びを兼ねて家族で日和浜へGO。到着するとたくさんの見知った顔が一生懸命、海練中。ちょこっとそこに混ぜてもらいつつ、またサザエと戯れたりと午前中いっぱい海と親しむ。
 佐渡まであと2週。こんなんで大丈夫なのか?



8/21までのトレーニング…Swim13.5  Bike260  Run209k  10.5h/週

2016年8月15日月曜日

トレーニング'16.8.8~’16.8.14

テーマ : 佐渡トラに向けたレースイメージ作り。

月 休養
 ラン10k 55分 HR70%
水 休養 筋&スト (夜 社内懇親会)
木 ラン22k 140分 やまびこラン HR60%〜90%
    バイク50k 110分
   スイム1,100m 30分(K100、PV200ドリル、50&100スイム)
金 ラン7k 43分 ジョグ HR60%
土 日和浜海練 220m×10本 60分
    日和浜〜だいろ〜自宅 110k 4時間20分
日 ラン18k 120分 やまびこラン
     バイク25k ショート練&トランジション 60分

週の振り返り

 やや強度高めのラン中心のトレーニングから今週は落とし気味の内容に。
 11日からは秋のフルマラソンを見据えて出湯温泉界隈でラントを開始。心拍計を頼りに上りを高強度で走り、下りは落として四頭筋に刺激を与えるという内容。おかげで翌日は久々の筋肉痛に。唐突ではあるが夏季休暇というもののない僕にとって新休日「山の日」は有難い祝日だった。
 13日は毎年恒例の早朝のお墓参りからスイム&バイク。朝の日和浜は潟鉄メンバーで賑わった。



バイクは今年初のだいろで坂の上りのあれこれを復習&実践。H澤さんから教わった下ハンダンシングと、鉄女ママからの、頑張れるところで頑張るの教えの合わせ技で、大汗をかきながら頂上へ辿り着いた。



 14日やまびこ通りへ。2周目の坂を上りきったところで気力を失いフリーズしてしまう。前日の回復が遅れた模様。しばし休憩を挟んだ午後、バイクからランのトランジションを2セット。この日はランの入りのペースを確かめる程度。以降ランの距離を伸ばしながら本番直前までトランジションとランの練習をしたい。


8/14までのトレーニング…Swim 9.4  Bike 230   Run 134  13h/週

2016年8月8日月曜日

トレーニング'16.8.1~’16.8.7

テーマ : 心拍管理トレの実践 (HR70% 心拍142以上をキープ)

ラン5k 33分 HR60%
 ラン10k 52分 5分target
  スイム 1,500m 60分(筋トレ、K500、PV200、ドリル、50mE&H×6)
水 ラン10k 53分 HR70%
木 ラン10k 54分 HR70%
  スイム1,300m 60分(筋トレ、K500、PV300、Hupドリル、50/100E&H)
金 ラン10k 56分 ビルド走 HR60%~80%
土 ラン15k 78分 12k60分走+3kジョグ HR80%
     バイク45k 90分
  スイム 1,300m 60分 (50×26 in西海岸)
日 ラン6k ジョグ 40分
     佐渡OWS 2,000m 46分
     ラン11k ジョグ 70分 (花火観戦ラン)

週の振り返り
 前回の振り返りにも記したが、日曜の走友会飲み会の前に400mlの献血行った。この影響からだろう、週前半のトレーニングの心拍数は急上昇した。火曜のスイムのインターバル練は完全に息が切れ続行不能になってしまったほどだった。
 具体例を挙げるとランではキロ5分で160オーバー(普段は150ぐらい)。有酸素運動(HR)の強度に換算すると90%程度。またHR70%LT値あたりの心拍を狙おうとすると、キロ5分30~40秒ぐらいで値が出てしまう。高い気温下のトレーニングでも心拍は上昇するが、おそらく献血効果で+10ぐらい上がっているのではなかろうか。筋肉に対して低負荷で心拍が上げられるという点では、まさに高地トレーニング擬似状態。積極的に鉄分をとって回復に努めたい。

8/7までのトレーニング…Swim 6.1  Bike 45  Run 77  12.5h/週

2016佐渡OWSのこと

 午前3:00発のフェリーに搭乗して両津港へ。そんな早い時間にフェリーが出ているの?と思われる方がいらっしゃると思うが、夏季に運航される特別便のようなもの。おかげで前泊せずにOWSに参加できるのでこちらとしては大変都合がよい。
 普段なら2等船室なのだが、この度は1等船室を予約する。深夜の便ということもあって、僕らの船室は閑散としていたが、そのお陰で出港から到着まで十分に睡眠を取ることができた。申し合わせた訳ではないが、ゆーサーモンさんと同室で彼もまた深い眠りにつけた様子だった。


 今年はバイクでの移動はやめて会場までシャトル便を使った。AM7:10両津港発の大型バスに揺られAM8:00前には会場の真野に到着。天候は快晴。バスから降りるとまだ朝だというのに外の熱気が僕らを待ち受けていた。真野湾に風はなく波は穏やかで、一瞥すると昨年の佐渡トラの海に似てるなと思った。



 両津からバイクで移動してきた面々と合流し、ブリ男さん、鉄女ママさんら有志と共にアップを兼ねたジョギングへ出かける。陽射しを避けて商店街へ脚を向けようとも考えたが、真野の海岸線をトレースすることにした。
 2人とは久しぶりのジョグだった。僕はこの機会を逃すまいと、兼ねてから約束していたランニングのゼミで教わったいくつかを話した。身体の重心の真下へ着地を心掛けること、股関節のタメのことなんかを超要約版で説明する。降り注ぐ陽射しと、熱を帯びはじめたアスファルトで気持ちいいぐらい全身びしょ濡れになった。

 AM9:00に僕らのカテゴリー2,000mのスイムチェックが始まる。スタートまで30分、ウエットスーツを着用しているので脱水や熱中症に気をつける必要があった。昨年はスイムの中盤で見事に脚が攣ってしまったので海水で身体を冷やし、十分に水分を補給するよう気を配る。
 ここで嬉しい出来事が。いつも拝見させていただいているスイムブログ「ヤッパウミハイイヨネ」のヨッシーさんにご挨拶することができたのだ。僕はどちらかと言えば物怖じしない性質なのだけれど、とても緊張してしまい挨拶するのがやっとだった。スタート直前にもヨッシーさんから合図を送っていただいたけれど、まさか僕に向けてのこととは思わずうまく返すことができなかった。ニコニコと笑顔をたやさないその表情はブログから受ける印象そのままだった。

 さて。コースの真ん中、やや前方に待機してスタートを待った。定刻が近づき、皆でカウントダウンして一斉スタートを切る。僕にとって2度目のOWSのスタートだ。
 スタート直後はそれなりにバトル状態。自分の手足が当たりまえのように他のスイマーに触れるし当たってくる。前方のスイマーの真後ろでドラフトしながら、慌てないように注意深く動作する。しばらくして密集状態から解放されると、他からのプレスはほぼなくなった。
 ヘッドアップして目標のブイを確認する。めざす黄色のブイはまだ先だ。
 ワンストローク、ワンブレス。
 呼吸に余裕があればツーストローク、ワンブレスを織り交ぜる。自分の好きなように泳げるようになり、ようやくちょっとしたスイムの旅が始まったように感じた。

 最初の直線はかなり左側方向、つまり目標とするブイの反対側に流されていた。周囲に誰もいないことを訝ってヘッドアップを繰り返すと黄色のブイがほぼ真横に見えた。そのロスっぷりに焦ってしまい、心拍数が一気に上昇する。落ち着こうと気を取り直しながら、インに沿って次のブイを目指した。
  2つ目のブイを折れ浜へ向かう。方向性を正すためにキャッチの手をいつも以上に肩からまっすぐ出すよう意識した。それでも右に左にと蛇行しているようで、まっすぐ目標に向かっていない不安は払拭できないでいた。

 そうこうしながら2周目に突入。再び沖へ向かう直線は並列するスイマーを目印にして、ロスしないように心掛ける。けれど時折互いの間隔が妙に離れることがあった。きっとおそらく左へ流されていたのではなかろうか。1周目よりも波が高くなっている。左斜め前方から潮の流れを感じ、プルの手をやや浅めにして身体の近くでかくようにして対応した。

 2つ目の黄色い部位を折れ、浜へ向かう残り500m。ストロークのピッチを上げ、体重を乗せるように肩にあごをつけつつ肘を上げ、より大きく水を掻き込むように努めた。にわか仕込の動作だったが、ここで実践投入。時々ヘッドアップして前方確認はするが、なんでもいいからこのまま行ってしまえという気持ちでゴールを目指した。
 ツーストローク、ワンブレスを基本に、辛くなったらワンストロークで息を入れ、ピッチを落とさないようにする。やがて浜に一番近い黄色いブイを越える。あともう少し。海の底がハッキリと目視で確認できる。けれどそこからがやけに長く、泳げるところギリギリまで水をかいた。
 45分19秒。今回の完泳タイムだ。結果を知った瞬間はちょっとがっかりしたが、持てるものは出したので致し方なしと言い聞かせる。周回コースをロスなく進む技術が欠乏しているのは明白だった。また来年もっと成長してこの海に臨もう。ま、来月また来るけどね。


 そして、新潟に戻ったこの日の夜。街では花火大会が催されていて、豊栄走友会と横越ヤンバラーズ合同の花火ランと称して、花火が打ち上げられている会場までジョギングするイベントに参加した。
 祭りの賑わいと日中の熱のこもる街を12人で走る。アテがあるようでナイような、夜を彷徨う大人の深夜徘徊みたいだった。午前中の真野の海の出来事が同じ日のことは思えないぐらい、長い長い夏の1日だった。(了)




2016年8月2日火曜日

佐渡輪行2016

 去年に引き続き佐渡、夏の輪行。始発のフェリーに乗って両津港に上陸。そして佐渡といいえばこの人、Tさんと合流する。

 大佐渡へ向かうプランがなかったわけではないが、時間的制約を考えて今年も小佐渡へ進路を取る。空には薄い曇が広がり、心配した気温もそこそこで頭打ちしそうな雰囲気だった。反面、鮮やかに晴れ渡る空と紺碧の海の織りなすコントラストの中をロードバイクで疾走することができないというのは至極残念に思った
 コースはTさんに全権委任。それが僕にとっていくつもの恩恵をもたらした。両津から道を逸れ農道に入った頃、山林の上空を一定のコースでぐるぐる周回する一羽の鳥を発見する。それはまさしくトキだった。野生で目撃したのは初めてでちょっと興奮する
 見渡せる同じ空にはトビもいて、その上空の振る舞いを比較すると、優雅に空を切るトビに比べ、必死に羽を動かすトキはどこかカッコ悪く見えてしまう。個体の特性なのか、種の飛行性能なのかわからないがアレはちょっとねぇ…と思うけれど、むしろそれが朱鷺に対する親近感に変わった。

 佐渡線から清水寺(セイスイジ)へ立ち寄る。京都の清水を模倣したそうだ。実物のスケールには到底及ばないものの、門をくぐった瞬間に、別の時間の流れに脚を踏み入れてしまったような錯覚があった。時間のヤスリにかけられ、木々の緑に囲まれた静寂さは何とも言えない風情が漂っている。




 再び佐渡線へ。バイクを漕いでいると春のロングライドの記憶が蘇る。連続する起伏。下りの勢いを借りて上りきれる坂もあれば、そうでないところもある。幾度となくそれらを繰り返した頃、道を左に折れ、多田(おおた)へ向かった。今度はだらだらと上り坂が続いた。僕らはせっせと坂を消化して上小倉の清水で休憩を取る。灰色の空から少しづつ青い空が見え隠れし始めた頃のことだ。
 冷たい清水は汗をかいた分を差し引いても十二分に美味かった。二つ目の恩恵だ。丁度、地元の方が水を汲みに来て、かつてこの自然の恵みがいかに生活に潤いを与えていたかを僕らに説明をしてくれる。話を聴きながら当時の情景に思いを馳せた。

 バイクに跨るとすぐに大きな茶色のダム壁が立ちはだかるように現れる。圧倒的な存在感だった。そのダムこそ、オニバス氏が現役時代に采配を振った治水事業の一つだとTさんに教えられる。このダムをもって佐渡の治水事業は完成したそうだ。
 今回のサイクリングは至る所にノスタルジックな風景に彩られている気がしてならない。これ今日のテーマ?と尋ねてもTさんはただ笑っているだけだった。

 トンネルを抜けると多田港まで一瀉千里。絶対にバイクで上りたくないような坂を下る。海岸線の深層海洋水の売店でいつも気になっていたアイスクリームを頂く。2人で腰を下ろして港を眺めながらアイスを食べた。
 お店の方から海洋水を勧められ、よかったらボトルに汲んでいっていいよーと言われ、お言葉に甘えて全力チャージ。三つ目の恩恵。海底300mの海水を汲んでろ過したもので、ミネラルをたくさん含んでいるそうだ。発汗の激しい僕には打ってつけの補給だ。

 多田、赤泊を抜ける。左手に広がる海の景色に眼をやりながら、1ヶ月後、またここを走っていることを想像しながらペダルを踏んでいると、小木まであっという間に到着した。
 小木ではお昼にお蕎麦を頂く。6年ほど前、会社の同僚らと釣りに訪れたときに食べたことのあるお店だった。小皿風の椀で出されるのは覚えていたが、味の記憶はきれいになくなっていた。
 少しヨレたお蕎麦とダシが程よく効いて、添えられた香の物と一緒に頂くと味わいが増した。素朴な味わいとでもと表現するのが適切だろうか。



 小木の坂へ向かう前に、ちょっと寄り道していこうとTさん。矢島・経島(ヤジマ・キョウジマ)を訪れる。溶岩がそのまま固まり、ごつごつとした岩肌がむき出しになった海岸で、近くの売店からは佐渡の民謡が拡声器から流れている。小木の景勝地は総じて民謡が流れていることに気付き、きっとこの拍子に合わせ、たらい舟を漕ぐのかもしれないなと思った。陽が完全に顔を出し、バイクを降りるとうだるような暑さになっている。


 いつか機会があればたらい舟を漕ぐのもいいなぁと思いつつ小木の坂へ向かう。これで3度目。一瞬で汗だくになりながら、昨年の佐渡トラで通過し時のことをパラパラと思い出す。
 雨が降り始め声援を贈る人たちが傘を差していたこと、それから女性の乗ったTTバイクに交され、追いかけようと必死になったことなど。今年も小木の坂は死に物狂いで頑張らねばならない。

 西三川の果実の売店が営業していたので立ち寄った。店に入るとしっかりクーラーが効いていて、試食のスイカを勧められた。もっと冷えたとこをお食べ~、と言うとおばちゃんは冷蔵庫から大きなスイカを取り出して、目の前でザクザクと切り出してくれた。甘くて良く冷えたスイカは喉を潤し、身体の熱を下げてくれた。この日、四つ目の恩恵。売店のおばちゃんは「暑い中、大変だねぇ~」と何度も繰り返し労ってくれた。



 風景を見ながら真野までの下りを堪能し両津へ向かう。Tさんは午後の陽射しに当たったせいか、疲労度合いが濃く、彼の自宅の近くでお別れをすることに。コーラで乾杯したかったけれど、良く冷えた甘いスイカがその代わりだったということで、またOWSで会うことを約束した。

 一人、両津港を目指した。何度となく通った見慣れた道を進む。港に到着し、サイコンを覗くと計ったかのようにちょうど100km。終わってみればあっという間の佐渡サイクリングだった。 
 今回も佐渡の人情と自然に触れることのできたサイクリングだった。
 じゃ、また来年!(了)