2016年9月26日月曜日

第116回秋葉区秋のマラソン大会のこと

 10kmレースはごせん紅葉マラソン以外走らなくなった。
 それは10kmへの思い入れが希薄なったことが一番ではあるが、マラソン大会のエントリーフィーは、それはなかなかのインフレ傾向にあり、ワザワザ同距離を走る為にお金を払うことに、ためらいを感じずにはいられなくなったことが大きい。
 ではなぜ、今回ここにエントリーをしたのか。
 それは、昨年の佐渡トラB〜湯沢コスモスハーフ〜新潟シティフル〜柏崎フルのローテーションで9月、10月のスケジュールを組んだのだが、佐渡の疲労が抜けなかったせいか湯沢、新潟ともにレース中に撃沈、戦意喪失してしまい、締めの柏崎こそなんとか目標は達成できたものの、忸怩たる想いの残る秋の内容になったのだ。
 今年はそれらを踏まえたローテ、でも刺激はシッカリ入れようということで、こちらにエントリーをした。まぁ現実は佐渡は途中棄権になってしまい、疲労というより故障からの回復が目下のテーマとなっているのだが…。いつだって思い描いた計画通りにならないことは、折り込み済みさと嘯いてみるのが精一杯だ。

 さて、秋葉区マラソン大会である。
 こじんまりした草レース、と思いきや秋葉区陸協主催による県縦断駅伝の候補選出を兼ねるという、超ハイレベルかつ逸材揃い、生粋のランナーが集まるガチンコマラソン大会であることが当日会場に訪れて判明した。
 敷居の高さを感じつつ、受付の際に渡されたA3両面の藁半紙に印刷された僕のカテゴリ「壮年B」総勢22名のエントリーリストを見ながら、はははと半笑いになりながらも、アランゼミで学んだストレッチを入念に行い臨戦態勢をとる。どっちみちこちらは45分で走る準備しかしていないので、これもまた如何ともし難いのであった。

会場の第三小学校

 レース10分前。スタート地点でゼッケンによる点呼という、手動集計の手順を運営スタッフは淡々とこなしていく。
 スターターの「オンユアマーク」の声と共に号砲が鳴る。
 男女混合総勢94名のランナーの小隊が早速列になって小学校のグラウンドから公道へ向かった。僕はほぼ真ん中に位置していたと思う。気の抜けない10km走の始まりだ。

 涼やかな秋の風に対抗するように、ギラついた陽射しに照らされて、僕らは公道を走る。最初の1キロは4:40秒に少しお釣りがくるぐらい。すぐ前には超有名女性ランナーTさんがいるのがわかった。
 勢いをそのままに、前方の集団に離されまいと頑張ってついて行く。2km通過は4:10秒台。うーん通りで息が苦しいわけだ。オーバーペースにイカンイカンと思い息を入れる。以降、時計を気にせず、苦しいけど走り続けられるペースを守り、かつフォームに気を配りながら進んだ。

 高速の下をくぐるとしばらく直線が続く。両脇を田んぼで挟まれた珍しくない農道だ。そこを指示に従い左に折れると集落に入り、しばらくすると折り返しだ。折り返しポールはスタッフのおじさんだ。おじさんを軸にをぐるり折り返すと、次いでかわいい給水所が現れる。左手で2つ紙コップを取って1つは頭からかぶり、もう1つは口へ運ぶ。

 この頃になると流石に息は落ち着いた。ただその分ペースダウンしてるだろうなぁと左腕のガーミンが気になった。今期は明らかにランニングのはぁはぁゼィゼィ不足で、僕にとっての「はぁ、ゼィ」はスイム練ぐらい。それがここでも生きてくればいいなぁと思った。ランの「はぁ、ゼィ」とスイムのそれはやっぱり違うのだろうか。走りながら真剣に考えてしまう。

 再び農道に戻ると、残りこんぐらいかなとかゴールまでの距離を逆算したりして、自分を励ました。気落ちするといけないので、頑なに時計は見ない。とにかく苦しいけど続けられるペース、かつゼミで教わった幾つかのフォームを再現し楽に走る続けることに心を砕いた。

 残り3キロあたりから後方からランナーの息遣いが聞こえてきた。力のあるランナーはもうスパートなのかと、自分の力量と比較して不貞腐りそうになる。こっちはギリギリ現状キープがやっとなのにな。
 そう思っていると現れたのは先ほどのT女史。流石のネガティヴ走と感心しつつ、僕は豊栄走友会のシャツを着ていたので、何者かはわからなくても、因縁浅からぬライバルの所属する会ということでお分かりだろうと思い、この機会を逃さず伴走を試みた。

 楽じゃない。けれど誰かと競い合うというのは力を出せるもので、そこからは確実にペースを上げることができ、差されたランナーを差し返すこともできた。そして何より、最後まで諦めずもっと速く走ろうとする工夫をゴール直前まで続けられたことが最良だった。

 小学校のグラウンドに入る手前で「ラストです、行きましょう!」と僕から声を掛け、お互いしっかりラストスパートをしてフィニッシュ。
 手元の時計は45:16。惜しくも目標には届かなかったけれど久々の、はぁゼィに満足。
ゴールまであと少し!

ゴールはすぐそこ!

 暫くしてからT女史と少しおしゃべりをした。
 50歳を超えてからの一年一年が大事だとか、好敵手たちが戦線を離れていくのは本当に寂しいとか、セリフが印象に残る。
 そう遠くない未来、加齢や故障に抗えなくなった僕は、マラソンをはじめとする幾つかの有酸素運動と、どう接しているのだろうか。そう考えると元気に動ける今をもっと磨くべきだと思うのだけれど、一方で、明日の自分のことではないとも思えてしまう。
 マラソンはツライけどスゴく楽しい。それは距離に関係なく。

 きっとまた来年、今度はもう少しスピード練習をして、第三小学校のグランドに足を運んでいることだろう。(了)

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