2016年2月23日火曜日

世界一うつくしい昆虫図鑑のこと

 まったくの衝動買いだった。帰宅の途中に書店に立ち寄り目当の本をペラペラめくり、少し思案したうえで購入を見合わせることにして、なんとなくフラフラと書店を彷徨っていたらこの図鑑が目に飛び込んできた。
 白地に、メタリックボディの甲虫が理路整然と並ぶその訂装に胸を射抜かれをてしまい迷わず手に取ってレジに並んだ。


  本のページをめくってこれほど心が躍ったのはいつぶりだろう。テーマに沿った秀逸なデザインが未知の生命の世界へと誘い、人智の及ばぬ自然の摂理あるいは意図的な創造主の存在を疑いたくなる。
  僕らの身近なところで生命の営みを行う彼らの存在があり、奇異なるものとして拒むことでそれを忘れているだけなのだ。虫捕り網を携えて自然に飛び出すのも悪くなく思えてくる。そんな精神の旅がここにある。
 フィクション、ノンフィクション、活字の織り成すあらゆるストーリーに疲れたときは、こういう本を手にとるとよろしい。そもそも本を手に取る本質的動機を思い出させてくれる。そんな良書だ。


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